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比較広告は、ライバルの商品との違いを訴えるから意味がある。そして比較の対象は身近なライバルのはず。ペプシでいえばコカコーラ、ニッサンならトヨタやメルセデスということになる。 しかしもし現実に存在しない仮想のライバルと比較してみせるとしたらどうだろう。どんな比較もあり、ということになってしまう。 これを「仮想比較」と名づけてみたが、こんな比較が消費者にどんな情報を与えているのだろうか?実物で検討してみよう。 |
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広告の実際
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スターレット
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テレビCMより |
スターレットはGOAボディを採用して衝突に対する安全性を強調している車らしい。公開実験では時速50kmで側面からの衝突を受けても客室内部は確保されていた、という。だから「100万円前後のスターレットが500万近いベンツと安全性にそん色がない」と驚きの評価を受けている。 このスターレットがテレビで比較広告を行った。が、比較の対象の車種は不明だ。仮想の車なのである。仮想の相手と並んで坂道を駆け上がってスターレットが勝ったり、仮想の相手が車庫入れで失敗するのに、スターレットは小回りが利いてスンナリ。あるいは仮想の相手は衝突して粉々に、といったストーリーである。 この放映直後の平成9年3月には昭和48年の発売以来、過去最高の売り上げ記録を達成したという。 この映像では比較の相手はあたかも実在するかのように映し出されている。これは消費者に誤解を与えないだろうか。実在しない仮想の相手ならば自社の製品の方が優秀に見えるのが当然だ。どんな製品でもどんなサービスでも優秀、優越になってしまう。これが「仮想比較」の問題点といえるだろう。
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