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一般に比較広告といえば真っ先に連想されるのがこの「性能比較」であろう。そのためにこれまでの比較広告に関する議論や批判はどうしてもこの「性能比較」のしかもその一部だけが取り上げられていた。しかし「性能比較」は多数のタイプのパターンのひとつなのだ。 ところで消しゴムとか茶碗、スリッパのような日用品はともかく、機能的な商品では消費者はまず自分でカタログを取り寄せる。そして自分の時間、知識、理解力で製品の性能、品質、使用方法を判断して自分で決定しなければならない。 「もっと楽をしたいなァ」という本音に答えるのがこの「性能比較」である。カタログ集めから対等な比較まで簡単にやってくれるのだから。だからこの性能比較が公正なものであれば消費者の利益に大きな貢献をするといえるだろう。 |
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広告の実際
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オールズモビル・アチーバ
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「ロードアンドトラック」 1992年4月号 |
ゼネラルモーターズの製造するアチーバSLの性能比較である。 「アチーバほど考えられた自動車はなかった。その喜びを検討してみよう。」この検討の対象となったのがホンダの「アコード」とトヨタの「カムリ」。具体的な性能の比較は安全性、エンジン性能、革新技術、ステップアップ整備、所有者満足プログラム、に分けて比較してある。 数値ではすべてアチーバが上。それ以外では数値はないが、アコードやカムリはほとんど「なし」。それがアチーバでは「標準対応」。 こうした対照表にしてもらうと大変わかりやすい。すべてが重要な情報といえるかどうかはともかく、少なくとも多数の情報に一覧性を与えたという点で消費者が楽をでき、それだけ貢献しているといえるだろう。
クラフトはコレステロールなし
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「グッドハウスキーピング」 1991年6月号 |
大きくマヨネースの容器がふたる。右側はクラフト社の「クラフト・フリー」、左側はベストフーズの「ヘンマンズ」。容器の写真からしてクラフト社の方が明るく、相手は薄暗いイメージ。その相手のラベルには「コレステロールなし」。ところがクラフト・フリーの方にはそれに「脂肪なし」が加わる。 そして相手は「スプーン1杯のチョコレートケーキに相当する脂肪が」ところが「当社のクラフト・フリーは脂肪なし」。 さらにもう少し詳しい説明が加わるのだが、消費者の利益は明らかだ。このような性能比較がなければ、消費者は両者のラベルの小さな説明を読み取って、場合によっては店頭で暗記して比較しなければならない。そんな労力を省いてくれるのが「性能比較」だ。 ただしこの写真の表現は多少問題がありそう。スプーンに載るような脂肪のかたまりが入っているわけではない。説明にも「このケーキの脂肪と同じ量の脂肪が」と断ってある。しかし写真からの印象は強烈だ。脂肪を気にする消費者に過大なショックを与えるとしたら、「ウソではないのにミスリード」に該当するかもしれない。
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