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「違うと思っているでしょう。だけど実は同じなんだよナ」という比較が、「確認比較」だった。
それとはちょっと趣を異にするグループを「あやかり比較」と名づけてみた。
このグループでは、まずライバルの知名度を利用して比較する。
そこまでは「確認比較」と類似する手法だ。しかし「同じだ」といいながら、しかしその後で、実は「ちがうんだ」と強調する点で他の比較とはまた一味違うのである。
なんだそりゃ?では実際の広告を見てみよう。 |
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広告の実際 (1)
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写真1はあやかり比較の一例である香水「ターモイル」の外観。
写真1 ターモイルの筒
しゃれた筒に入った香水であるが、その側面ではこう告げている。
ディオールのプワゾンをお好みなら、きっとお気に召すでしょう。 当社のターモイル |
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写真2 容器の一部
他社の有名な高級香水「プワゾン」のブランドを引用して自社の無名の香水「ターモイル」と比較するやり方だ。
「きっとお気に召すでしょう」で「有名なアレと同じです」を意味させ、容器に堂々と他社の商標を使って行う比較である。
ただし単なる類似品ではない。ターゲットストアーのようなスーパーで扱っているのだが、それが2ドル99セント、300円なら買い易い。
比較された「プアゾン」なら25ドルもするのだから。
だからこの表現は、商品は「おんなじだ」。
だけど価格は「違うんだ」、という比較、すなわち名づけて「あやかり比較」なのである。
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広告の実際 (2)
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写真3は、ミスティック インプレッションと称する、これも香水。
写真3 ミスティック インプレッションのケース
容器の正面を拡大すると下記のような文章が。
写真4 ケースの拡大
ミスティック インプレッション シャネルファイブ*の当社版です |
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そして脚注*として、
これはシャネル社の登録商標です 当社のミスティック インプレッションとは関係ありません |
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これが3ドル94セントだった。
有名なシャネル5番と香りはおんなじです。
しかも400円。これなら買いやすい。
あやかり比較の効果である。
香水の場合、「それ、香りが違うからニセモノね!」と指摘できる人はあまりいないだろう。
ということで、あやかり比較を利用できる商品は限られるのかもしれない。
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